究極のゆっくり乾燥
どんなに『良い稲』を育ててきても乾燥作業を失敗すれば『良い米』にはならない
京都辻農園ではかなり乾燥にこだわっております。米の味だけを追求すれば、間違いなく『天日干しが良い』。しかし現時点では規模的にも手間的にもコスト的にも実施はできず、一般的な機械乾燥を実施しております。しかし機械操作やその他数々の工夫を加え、『日本を代表する米職人』と言われるだけの『職人技の数々』を加えて、一般的な機械乾燥とは一味違う機械乾燥を実施しています。
乾燥作業って何? そこでそんな違いが出てくるの?
そのあたりをゆっくりと何回かに分けて説明させて頂きたいと思います。
天日干しには負けたくない!
実は私の米作りの最大のこだわりがこの乾燥にあります。
どんなに『良い稲』を育ててきても乾燥作業を失敗すれば『良い米』にはならない
と考えているからです。そういう意味では、天日干しは失敗の少ないとても良い乾燥方法だと思います。
『天日干しに負けない』と大きく出ましたが、実際『天日干しに完全に勝つ』ことは出来ません。いきなりの完敗宣言のように思われるかもしれませんが、そうと決まったわけでもありません。目指すは『五分五分』です。
というのも、天日干しにもメリット・デメリットがあるため、そのデメリットを解消すれば、負ける所もあるが、勝つ所もあって、負けっぱなしではない。軍配は消費者様に・・・というところまでもっていけるのではないかと考えております。
通常の機械乾燥の農家さんの作業では、ほぼ負けっぱなしですから、せめて
『一矢報いたい』
と取り組んでいるわけです。天日干しのメリットはなんと言っても『太陽光線』です。太陽は偉大ですねえ。いろいろな食品において天日干しにすることによって太陽光線を受け『うまみ成分』がたくさん生成されます。さすがに機械乾燥ではこの点に関しては完敗です。絶対に太刀打ちできません。しかし洗濯物を干した時、表と裏は同じようには乾きませんよね?そうです乾燥ムラが出来るのです。テレビ等で刈り取った稲を干しているところをご覧になったことがある方は気付いておられるかもしれませんが、どうしても重なりが出来るのです。
最近素晴らしい天日干しを見ました。スキー場のリフトに刈り取った稲をかけてずっと回しておられました。あれは完璧です。重なりも少なく向きも常に代わり自然の風も良くあたります。まあコストはすごくかかるでしょうが・・・あれならもう完敗です。でも普通の天日干しなら必ずムラが出来るのです。日の当たり具合も違えば、一粒一粒の乾燥の具合にもムラができます。(私の尊敬する『米の神』石井稔様は何度も何度も架け替えをされて均一乾燥を実現されておられます。今の私にはまだできませんがそうすれば我々機械乾燥に寸分の勝ち目もありません。いずれは石井様のようにしていきたいと思っています。)しかし、実際天日干しの多くはやはりムラだらけなのです。
私はこのムラがあまり好きではありません。もしかしたら究極のブレンドのように(←これはムラとは違うと思いますが)必ずしも均一ではないものが均一を超えることはあると思います。しかし生産者がこの究極のブレンドのような物を、自然な栽培のムラで実現できるのか?少なくとも私には出来ません。なので究極のブレンドは専門の方にお任せするとして、生産者の私は出来るだけムラの無い安定した品質の物を、そしてご安心ご納得の頂ける物を、作りたいと考え『乾燥』に関わらず、至る所でこの『安定・均一』にこだわった作業を実施しております。
話を戻しまして、乾燥において『均一な乾燥』ならば機械乾燥は全て同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、それが全く違いまして、一般的な機械乾燥では『むしろムラが多く出来る』のです。多分こんなことにこだわってもいない多くの生産者は全く気付いてもいない現実だと思います。 続きは後日・・・
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